双眼鏡の選び方
野鳥に近づくことなく観察できる双眼鏡。持っているとバードウォッチングの楽しみがより広がります。ここでは、たくさんある機種の中から、あなたのお好みの一台を選ぶポイントをご案内します。
1.カタログ表記の見方
機種名の「8×30」などの数字「8」は倍率、「30」は対物レンズの口径(直径mm)を示しています。
1000mにおける視野 多くの場合、1000m先を見たときに見える範囲の直径をmで示しています。数値が大きければ大きいほど、より広い範囲を見ることができます。
基本的に、対物レンズの大きさが大きければ大きいほど、たくさん光が入るため、明るく見えるようになります。その一方で、レンズが大きくなると双眼鏡本体がより重くなります。バードウォッチングには、20〜40mmくらいのものがよく使われています。用途にあわせて以下の3つのクラスを目安にするとよいでしょう。
2.対物レンズの口径を選ぶ
【A】 口径20mmクラス
軽さ・持ち歩きやすさを重視する方に。
旅行にハイキングにお散歩に、いつでも携帯できるコンパクトサイズ。
【B】 口径30mmクラス
携帯性と明るさ、どちらもすてがたい方に。比較的持ち歩きやすく、必要な明るさをしっかり確保。
【C】 口径40mmクラス
とにかく明るさ・見やすさを重視する方に。
夜明け・夕暮れなど暗めの条件で威力を発揮。
3.倍率を選ぶ
倍率が大きくなればなるほど、見える範囲(視野)が狭くなり、見たいものを視野に入れるのが難しくなります。バードウォッチングでは、動きのすばやい野鳥を追いかけるため、倍率が高く視野が狭い双眼鏡は不向きです。一般に、8〜12倍程度のものがよく使われており、なかでも、はじめてお使いになる方は、より視野の広い8倍がおすすめです。
4.その他、双眼鏡選びのポイント
アイレリーフ
双眼鏡をのぞく時、双眼鏡の接眼レンズ面と眼球の間にはすき間があります。このすき間が、どのくらいまで離れても、しっかり見えるかを示したのがアイレリーフです。
アイレリーフが10mm程度のものは、目をかなり接眼レンズに近づけないと見えないので、メガネをかけている人には不向きです。
メガネをかけている方には15mm以上のものがおすすめです。
最短合焦距離
もっとも近くでピントが合う距離のことです。近くのものを見たいときには、この距離が短い方が便利です。
例えば、道からはずれずに周囲の草花を見たり、近づくと姿を隠してしまう虫を見たりするときには、最短合焦距離が短い双眼鏡が役立ちます。
防水機能
突然の雨や海や川の水しぶきなど、野外では思いのほか水に触れる機会があります。水が双眼鏡の中にはいるとカビが生えるなど故障の原因になりますので、防水タイプのものが安心です。
また、中に湿気が入りにくい、人の蒸気や温度差によるくもりがでにくい、などの利点もあります。
重さ
対物レンズが大きくなれば、一般的に重たくなりますが、メーカーの努力によりさまざまな軽量化が図られています。表記では実際の重量が記されていますが、重心のかかり方で、同じ重量でも重たく感じたり、軽く感じたりする場合もあります。
また、軽い双眼鏡の方が首にかけた時の負担が少ないですが、風が強い場所(強風時や、海岸沿い、船上等)の観察では、重たい方が風でブレずに観察することができます。
レンズ
双眼鏡や望遠鏡に使用されるレンズによって、覗いたときの見え味はさまざまです。野鳥識別をより楽しみたい方は、レンズ選びにこだわってみましょう。
代表的なレンズの種類:「ノーマルレンズ」「特殊低分散ガラス(EX、XD)」「フローライト(蛍石)」
快晴や直射日光が強い日に白い鳥を見ると、境界線が青白くぼんやりすることがあります。
これは、光を構成するいくつかの波長の異なる光がレンズを何枚も通ることでズレが生じ、発生してしまう現象で“色にじみ”(色収差)と呼ばれます。
「特殊低分散ガラス(EX、XD)」「フローライト(蛍石)」を使用したレンズは、色にじみを軽減します。
価格
当ショップには1〜20万円程度までの双眼鏡が掲載されています。この価格の違いはさまざまな理由がありますが、総じて、高くなるほど見え味がよくなるのは間違いないと言えます。
双眼鏡は、対物レンズから入ってきた光を、いかにきれいに眼球に届けるかを考えて設計されています。対物レンズから入ってきた光は、何枚ものレンズを通り、プリズムで反射を繰り返し、接眼レンズ通って眼球に届きます。
しかし、光がこれらのレンズを通る度に、どうしても数%の光が反射して失われてしまうため、眼球に届く頃にはかなり暗くなってしまいます。
そこで、各メーカーは、独自のレンズコーティング技術等を採用し、この反射によって失われる光を少しでも軽減し、さまざまなレンズを組み合わせることで、色にじみのない、きれいな像が見えるように努力しています。
価格の違いは、この努力料であると言って間違いないと思います。
メーカー
国内、海外さまざまなメーカーがあり、メーカーによって、レンズの性能へのこだわりやデザインなどが異なります。各商品ページでご確認ください。
一般に、海外メーカーの場合、大きな修理の際は海外に輸送するため、時間がかかる場合がありますが、国内メーカーに比べ保証期間が長く設定されています。